August 31, 2007

開発者インタビュー O・TO・GI〜御伽〜


『O・TO・GI〜御伽〜』は、企画当初からア
クションRPGだったのでしょうか?


竹内 私たちが作るジャンルはいつもそうなんてすが、既存のジャンルが当てはまらないんですよ。
だから、あえてジャンルを言うならば、そういう要素があるから”アクションRPG”と言っているだけで、企画当初からいまのスタイルのようなものでしたね。
あまりジャンルとかから考えません。
取材などで「ゲームの内容を説明してください」と言われたときに、「このゲーム説明しにくいんですけど」(笑)って言っていました。
何のジャンルかイマイチわからないので、しょうがないからアクションRPGかな、って。

ステージクリアー型の進行やハードなアクション性から、純粋なアクションゲームかな、って思っていたんですけど。

山田 そうですね。そういう意味では、より純粋なアクションに近いです。
ただし、成長要素やコレクション要素もあるので、アクションと言い切ってしまうのは正確じゃない。
難しいところです。

発表当初はライコウは空を飛びまくっている画面ばかりだったんですけど、最終的には地を走るのがメインになったわけは?

竹内 最初から地面を走ること自体は想定していました。
発表当初にお見せした画面は、プログラムの関係もあって、空8、地上2くらいの割合の構想だったんです。
開発途中で、それが空3、地上7くらいに変わっていきました。
でも、基本的には空を飛んでいるあいだのニュアンスというのは残っていますし、空を飛んでいようと思えば、製品版でもかなり長いあいだ飛んでいられます。
空を飛んでいるあいだのアクション性をもっと強く出していったらおもしろいのでは、という社内の意見などを吸い上げた結果です。

タイトルの由来は?

竹内 最初に”和風”というものを世界観に入れようという考えから企画がスタートしていました。
そもそもコンセプトとし”破壊”がありましたので、破壊や敵を吹き飛ばす爽快感だとか、それらをグラフィック的に強調するときに、木製建築物のほうが見栄えもよく、壊しがいがあるのではないかと思いました。
それが全盛期の時代、ということで、平安時代をモチーフに選択してみました。
そこで、その世界観をユーザーに伝えやすい言葉ということで、モチーフにしている”御伽草子”からタイトルをつけました。
以前の陰陽師ブームのおかげで、この時代に興味を持たれている人も多いだろうというのもあります。

主人公のうイコウの設定は、どのようにして構築されていったのでしょう?

竹内 御伽草子のなかl”源頼光”という人物が登場するのですが、彼をクローズアップした『頼光記』におけるイメージが、ライコウのベースになっています。そのモチーフを使って「特徴のある設定を作って」と、キャラ作りをディレクターに渡しました。
山田 ”破壊”という要素があるゲームなので、楽天的なヒーローよりも”ダークヒーロー”を作りたかったんです。
そこで”死を司る”などの設定を考えました。
”破壊”というコンセプトからまともに考えていくと、マッチョなイメージになってしまいますよね。
でもマッチョなキャラって、知能があまり高くないイメージが……完全に偏見ですけど(笑)。
だから、逆にそうじゃないキャラを、と。
竹内 ただし、そうしたキャラの内面というのは、ゲームの中で描く必要はないかな、と思っています。
アクションというスピード感のあるゲームの特性を考えると、あまり内面を描くとゲームの流れが悪くなると思うので。
そうして描かないことで、ユーザーに想像して楽しんでもらえたらいいというのもあります。
だから、あえてライコウのセリフはひとつもありません。
これはフロム・ソフトウェアの理念みたいなもので、ゲームを楽しんでもらいたいので、シナリオや設定はその中の
付加的要素として捉えています。

ヨモツヒラサカノヒメにもモデルがいるのでしょうか?

竹内 いくつかのイメージがあります。
ライコウを生き返らせているわけではないのですが、その死生をコントロールしている、という能力などか
ら連想できるのが、黄泉津比良坂(よもつひらさか)のイザナミ、イザナギのエピソードです。
御伽草子じゃなくて「古事記」からですけどね。あとは”お姫様”という全体のイメージから、ビジュアル面に関しては、わりとこじつけっぽいですけど『竹取物語』のかぐや姫をイメージしています。
山田 生死を操っている、というイメージから、”顔を見せない”というところにつながっています。
女性は人前にあまり姿を見せない、という日本古来の風習などがリンクした形です。
ただし、ちゃんと顔のデザイン画とかあるんですよ。
ほかに彼女が乗っている牛車とか、設定やデザインなどはいっぱいあります。
ぜんぜん使いませんし、ユーザーに直接見せるわけではないのですが、設定そのものは、細かく作っています。

妖鬼のデザインやネ一ミングなどはどのようにして決められましたか?

山田 キーワードとして”和風の妖怪の持つ不気味さ”。
でもそれだけだと陰気臭くなるので”西洋のきらびやかさ”のようなものを入り混ぜて、というのを意識して作るよう、デザイン担当にはお願いしました。

竹内 私からの要望は、ネーミングに関しては”あからさまに聞いたことのあるようなものを入れてほしい”。
せっかく和風を舞台に、源頼光というのをモチーフにしているので、登場人物だけじゃなくて、クリーチャーのほうも聞いたことがあるようなネーミングにしよう、と。
酒呑童子や八岐大蛇(=ヤマタノオロチ:「古事記」や「日本書紀」などに登場。スサノオに退治された怪物として有名)、鴉天狗、終盤に登場するミチザネ(=菅原道真:845年〜903年。平安前期の公卿にして政治家だったが、藤原時平の朧訴によって左遷、流刑に処され、やがて流刑地で憤死。その後、復讐のため雷様となって時平や朝廷を苦しめたという。現在は学問の神=天神様として奉られている。太宰府天満宮が有名)もそうです。
源頼光だけ実在のものを連れてきてあとはすべてオリジナルじゃ、なじみが悪いと。
御伽草子をモチーフにしている本作の世界観としての一体感を目指しました。

ショップで買い物をするときに、ヨモツヒラサカノヒメから「声を殺し泣き、自虐的な気分に浸っておれば……」とか言われよすが、あれはどういう意昧なのでしょうか?

竹内 設定と深く絡んでくるセリフではあるんですけど、ハッキリ言わないほうがユーザーに想像してもらえるかな、と思ったんです。
「声を殺し泣き……」|こ関していえば、これはライコウのことを指しているんですけど、自分の父親を殺すように命じられて逃げてきた、などのライコウの設定があるのですが、そういったことに対していろいろ言っている、ということなのです。
このあたりはゲームが終わったあとに全体を見通して「ああ、そうだったんだ」と思ってもらえれば。
説明し過ぎると「なんだ」と冷めてしまう人も多いと思います。
そういう設定やシナリオ部分を気にしない人は、まったく気にしなくてもゲームそのものはおもしろくプレイしながらクリアーできると思いますし。
人それぞれの楽しみかたができればいいな、と思ってああしているんです。

ローディング画面やライコウの登場シーンなど、桜がよく登場するわけは?

竹内 ニュアンスを説明するのはけっこう難しいですね。
ライコウのイメージが、死んでいるのか生きているのかわからない存在、ヨモツヒラサカノヒメにある意味操られているという部分、さらに次元の挟間のようなところから出現する、それらを合わせた和風的なイメージ、というのと、”桜”がなんとなくピッタリしたんです。
桜というのは、音から”死生観”というものに深く間わってきたイメージでもありますし、あるいは”はかなさ”だったり”華麗ざ”だったり、そういったイメージがライコウのそれと一致した。
モチーフとしては当初から考えていたものなのですが、現在の形に落ち着くまでには本当に時間がかかりました。
山田 桜の花びらが散る表現というのが、さきほどの”死生観”もあって、はかなく散る、というイメージがありまして。
最初はSFXでサーッとやっていたんですけど、それだとあまりうまく表現できなくて、プログラムで挙動を調整したんです。
可憐に、華麗に、せつなく散るように。
竹内プログラマーは困ったでしょうけど。
「せつなく、はかなく散るプログラムって何だよ」って(笑)。
あの桜の花びらが散る表現というのは、意外でしょうけど、xboxじゃないと不可能なくらいの、わりと高度なプログラムなんですよ。
手間がかかっています。
ああいう地味なところにわりと高度な技術を使うのが得意なんです(笑)。
ライコウ出現シーンの音も、「これはちょっとはかなくないだろう」とか言って、何度もリテイク出しました。
そんな感じで、開発中は妙な発注が飛び交っていましたね。
山田『O・TO・GI〜御伽〜』で、フロム・ソフトウェアとしては和風の世界観は初挑戦だったので、そういうノウハウがまったくないところからの”一からのスタート”でした。
いつもなら、以前作ったゲームのこんな感じの音とか、アニメーションとか、曖昧に指示してもそれっぽいものがで
きてきました。
しかし今回はそうはいかない。
たまに忙しすぎて、そういう曖昧な指示を出してしまうと、『アーマード・コア』のロボットみたいな妖鬼ができあがったり(笑)。
でも「これ妖怪っぽくない」と言われても、どうしたらいいかわからなかったでしょうね。
実際にいるわけじゃないし。

隠し要素的なものは?

竹内 隠し要素と言えるかどうかわからないですけど、武器の数がけっこうあります。
通常にプレイすると、半分も獲得できないかもしれません。
条件が揃わないと獲得できないものもあるので、そうしたやりこみ要素がたくさんあります。
東京ゲームショウバージョンにも入れていたんですが、フロム・ソフトウェアに馴染み深い武器をひとつ入れています。
ファンサービスですね。

最後にユーザーヘのメッセージを。

山田 今回、フロム・ソフトウェアとしてxboxというハードで何を表現しようかと突き詰めた結果”破壊”というものを表現していこう、ということになりました。
ですから、何も考えすにただ壊しまくっていくのもよし、敵をぶつけるなど、ゲーム性と絡めて破壊するのもよし、といった、従来では味わえなかった破壊することの爽快感や楽しさを感じていただければいいです。
竹内 『O・TO・GI〜御伽〜』をプレイすると、ほかのゲームが物足りなく感じるかもしれません。
開発中、ほかのゲームをプレイしていると「何でこれは壊れないんだ!」と欲求不満になりましたから。
そこまで楽しんでいただけたらいいですね。
今回はやや難しめに作ってあります。というのも、広がりきったゲーム市場が、現在縮小傾向にあると言われている。
その原因は何なのか、そのなかでxboxで出すタイトルとしてどういったゲームがふさわしいか、という考えに対しての、私たちなりのひとつの回答だと思って作りました。
ユーザーヘの問いかけになっています。
ですから、いい意見、悪い意見、いろいろ出していただければ、つぎの開発へと続くのではないかな、と思います。



「O・TO・GI〜御伽〜 オフィシャルガイドブック」エンターブレイン より

gamekoryaku at 18:53│コメント(0)TrackBack(0)clip!

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