October 18, 2012

■鳥山求氏「『FF』シリーズに携わるキッカケは、大学時代に観た”寅さん”でした。

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鳥山氏が手がける作品

ファイナルファンタジーXIII-2


心に響く作品ナンバ−ワンは、山田洋次監督の『男はつらいよ』

『男はつらいよ』を意識して観始めたのは、大学生のときでした。
それまでも、テレビで観たりはしていたのですが、シリーズ作がたくさん出ているのには、それなりの魅力と理由があるのだろうと、レンタルビデオで1作目から借りていったんです。
「男はつらいよ」シリーズは、主人公の”寅さん”こと寅次郎がいて、彼が恋に落ちるマドンナがいて、最後は失恋して……というパターンがあるんですよ。
でも、それは”王道”や”様式美”と言える完成されたもので、マドンナのタイプやドラマの切り口は毎回違う。
変えない部分と変える部分のバランスがいいんです。
僕は、つねに新しいものを取り入れていくようにしているのですが、根源にはオーソドックスな、”心を打つ”ものが好
きという部分があります。
その点で、「男はつらいよ」は人情あり、笑いあり、涙ありで、心に訴えかけてくる作品なので大好きなんです。
ちなみに大学生のときは、その思いが高じで”「男はつらいよ」研究会”というサークルを立ち上げたり、クイズ番組で「男はつらいよ」を扱った回に出演したほどでした(笑)。
また、この作品に出会ったことが、のちに「FF」シリーズに携わるようになったきっかでもあります。
「物語を多くの人に届けたい」という気持ちを、掻き立てられた作品だったからです。
いま、その『FF』を作る立場になって、寅さんというキャラクターを長く描いていることや、ファンの期待に応えて続けていることが、本当にすごいと改めて思います。
また、寅さんは、作品が出るにつれて年齢も上がっていき、それがリアルに反映されていくところも魅力です。
僕がつぎに、強い個性を持つ主役キャラクターで物語を作るときは、寅さんのように、年齢の違いによる味わい深さを感じられる作品を作るのもいいかもしれない、と思っています。

「男はつらいよ HDリマスター版」プレミアム全巻ボックス コンパクト仕様<全53枚組> [DVD]
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『それでも、生きてゆく』にプロの仕事を垣間見た

僕は、シナリオ作りの勉強のためにも、国内外問わず、映画やテレビドラマをよく観ています。
『FFX掘戮慮紊法X掘2』という続編を制作していますが、これはテレビドラマ的な構成を意識している部分もあるんですよ。
この『それでも、生きてゆく』は、脚本のよさが光っている作品です。
過去に犯罪に巻き込まれた家族と、その加害者の家族が織り成す数日間のお話で、事件から現在までの”重み”が痛いほどに感じられる。
暗いお話ですが、そこには癒しもあるんです。
役者さんたちが、本気で脚本と向き合っている空気までもが感じられて、プロの作品作りという面で、非常にいい刺激を受けました。
ロケ地が僕の田舎のほうで、記憶の情景と重なるという部分も、個人的には印象深い部分でしたね(笑)。

「それでも、生きてゆく」ディレクターズカット完全版 (初回封入特典終了) [DVD]
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日本のゲーム事情を感じる  『聖戦ケルペロス』に感心

『FF将掘2』のリリース時期に、『聖戦ケルベロス』がEXILEを起用した大々的なプロモーションを行っていて、悔しい思いをしたのが、この作品を意識したきっかけでした(笑)。
『聖戦ケルペロス』は、カードバトル型のシミュレーションRPGで、ほかのソーシャルゲームよりもコア寄りなゲーム性を持っています。
コミュニケーション要素が重すぎず軽すぎず、ほどよく関わり合うことができ、広い層のユーザーが参加しているのが魅力ですね。
ユーザーの声をダイレクトに反映し、新たな要素をつぎつぎと実装していたりもして、現在の日本のゲーム事情を感じられます。
最近は通信環境も整ってきて、ユーザーが互いに”そこにいる”感覚を得られることが大事になっていると、強く印象づけられました。



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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