ゲームクリエイター 心の三種の神器

December 21, 2012

■名越稔洋氏「プルース・リーは、永遠に超えられない。究極にシンプルなキャラクターです」

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名越氏が手がける作品
龍が如く5 夢、叶えし者 予約特典 龍うた -龍が如く5 THE BEST SONGS SELECTION- 全国5大都市マップ 付き




圧倒的な存在を生み出した『燃えよドラゴン』

あえてキャラクターという言いかたをしますが、ブルース・リーは究極のキャラクターですよ。
ゲーム業界のみならず、アジア圏でもっとも影響を与えたキャラクターだと思うんです。
映画の公開当時の盛り上がりを振り返ると、子どものころのオレの感動は、日本中、もしくはアジア中の人が感じたものだったんじやないかな。
インパクトが強く、オレが強いキャラクターを考えるとき、必ず一度はブルース・リーが頭をよぎりますね。
とはいえ、ブルース・リーをもじったところでそれを超える存在にはならないので、頭の中で素通りさせて終わり(笑)。キャラクターを作るときに陥りがちなのは、日立とうとして、いらないものをつけ足したりすることです。
けれど、結局、シンプルで説得力の高いものには勝てない。『燃えよドラゴン』でのブルース・リーは、上半身裸、奇声、
暴れる、で成立するんですから(笑)。
最上級にシンプルなんですよね。”シンプルイズベスト”をスタッフに説明するときにも、よく例に出しています。
物語や筋書きを超越した存在なんて、オレはいまだに生み出せていませんから、尊敬に値するし、そんなキャラクターが作れたらと思っています。
燃えよドラゴン [Blu-ray]
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『タワーリング・インフェルノ』で人生の教訓を得た

オレは子どものころ、映画館に行く機会がわりと多かったので、これも劇場で観ました。
ビルで起こる大火災が題材ですが、火事なんて、それまでテレビの小さい画面でしか見たことがなかったわけです。
劇場の大画面で火事を目の当たりにすることだけでも印象的なのに、さらに、子どもでもわかるような人間ドラマが描かれている。
ひとつの大きな事象があり、そのなかに、緻密に絡み合って影響し合う複数の出来事が織り込まれているんです。
おもしろさと、人を救うかっこよさ、そして感動が詰まった物語に、当時はよくわかっていませんでしたけれど、とにかく「すごい」と思って観ていました。
また、思わず声を出してしまうというか、物語に介入している気持ちが生まれたです初めての映画です。
登場人物といっしょにハラハラ感を共有するような経験をしたのを記憶しています。
この作品は、オレにとっては人生教訓の意味合いも大きかった。
人生には、危険から逃げずに真っ向から戦って、活路を作るしかないときがあります。
そのときは戦わないと、やはり人はついてこない。
何かをしようとするとき、たとえ反対されてもやり抜く意志の美しさを感じました。

タワーリング・インフェルノ [Blu-ray]
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憧れの仕事である超大作『巨人の星』

この作品は子どものころに、たぶん再放送で観たんだと思います。
主人公の星飛雄馬が、野球で父を越えるまでを描いた話で、全182話という超長編アニメだったんです。
でも、これってものすごいことですよ。
2年半以上の放映を見据えてスタートしたんですから、むちゃくちやです。
いまこの企画書を出したとしたら、ただちに却下でしょうね(笑)
「この膨大な物語を提供し続けるんだ!」という意思決定力に感動させ覚えます。
『巨人の星』は、原作のマンガ自体がいいということはもちろん、多くの裏方のサポートがあったうえで、不朽の名作という領域にたどり着いたのだろうなと。
いまではこんなやりかたは実現できないでしょうが、仕事としては理想形と言ってもいいかもしれない。
こんな教科書はほかにないですよ。
作品そのものとしては、オレは「けっこうファンタジックな作品だなJと思っています。
お父ちゃんが、ある日突然ギプスを出してきたりとか、貧乏なのにそのお金はどうしたんだとか、どこに発注をかけたんだろうとか(笑)。
いま思うと突っ込みどころ満載なんですが、どこか説得力があって、いいんですよ。
いつか、こんな企画書を書き上げるようなチャレンジャブルなクリエイターが出てきたら、とてもうれしく思いますね。

巨人の星コンプリートBOX Vol.1 [DVD]
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※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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■橋野桂氏「”一瞬のひらめき”を切り取りつつ計算し尽くされた作品に惹かれます。

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橋野氏が手がける作品

ペルソナ4 ザ・ゴールデン


『マルホランド・ドライブ』のビジュアル表現が『ペルソナ』シリーズにも影響

人が頭に浮かべるイメージを、まさにそのまま切り取ったような映像美や、独創的な物語、また、それらを巧みにつなぎ合わせるアイデアのうまさなど、デヴィッド・リンチ監督作品には多くの感銘を受けました。
謎めいた映像を散りばめて解釈を観客に託す演出力にも、毎度舌を巻きます。
ですから、僕にとって「マルホランド・ドライブ」は単なる映画という娯楽の範疇を超えた興味深い創作物なんです。
彼のヒット作となったドラマ「ツイン・ピークス」などに見られる、どこか人間の心象風景を思わせるビジュアル表現も魅力的で、一部はペルソナシリーズなどの作品に活かしたものもあります。
じつは、『マルホランド・ドライブ』は開発初期にべルソナチーム全員に観てもらったのですが、「ワケがわからない」という感想が多くて拍子抜けしました(笑)。
でも、リンチ監督の作品は、いずれも一瞬のひらめきを映像にしたかのようで、そのじつ計算し尽くされた演出や構成に貫かれていて、目が離せません。
物語がすばらしかったり、演出が巧みであったりして、”名作”と呼ばれる映画はそれこそ星の数ほどあります。
ですが、この点が、リンチ監督作品がほかの名作と一線を画していると感じる最大のポイントなんです。

マルホランド・ドライブ [Blu-ray]
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『銀河鉄道の夜』の”ひらめき”と”計算”の極致に作品作りを学ぷ

あまりに著名な作品で、いまさら僕が語るぺきこともないのですが(笑)、『銀河鉄道の夜』は、銀河の中を鉄道が走るという、ビジュアル的な印象が強い童話です。
しかしこの作品は、賢治が最愛の妹を亡くした際に、彼が住んでいた東北の満天の夜空を見上げ、妹を思いながら書い
たと言われている物語で、とても深い感情が根底に流れています。
じつは二通りの結末が書かれ、出版の時期によってそれが違っているなど、発表の経緯にまで作者の葛藤がありありと表れている点が印象深いですね。
心底苦悩し、考え尽くした賢治の心境がなければ、生まれなかった作品だと感じます。
「マルホランド・ドライブ」のところでも言いましたが、一見ただのひらめきを切り取ったようなキレイさにゃテンポのよさを感じさせながら、実は骨太に考え尽くされている、そういった作品に惹かれます。
ちなみに、この作品も、僕が読んだだけでなく、会社の勉強会で題材にして、チームスタッフどうしで読み解きのようなことを行いました。

銀河鉄道の夜 (角川文庫)
銀河鉄道の夜 (角川文庫)



橋野氏の作品の方向性を決定づけた『真・女神転生』

この作品をプレイしてまず感じたことは、”モノの見かたは人によってまったく違っていて、絶対的なものはないんだ”ということですね。
誰かが「いい」と言っていることが、本当にいいのかどうかは、最終的には自分で判断しなければならない。
言葉にすると当たり前のことのように聞こえてしまいますが、双方向であるゲームという媒体で問うにふさわしいメッセージだなと思いました。
この考えかたは、程度の大小の差こそあれ、僕の作品ではつねに込めてきたつもりです。
たとえば、いま自分の状況を「つまらないな」と思っていても、視点やものの捉えかたが変わることで、ガラリと気分が変わるかもしれない。
自分が変われば世界も変わるのだということを、これからの作品でより強く伝えられないかと考えていたりします。
そういう意味では、僕が手がけたあらゆる作品と、根本でつながっている作品だとも言えますね」

真・女神転生
真・女神転生

真・女神転生
真・女神転生



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より


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November 07, 2012

■須田剛一氏「プロレスとロックとアニメが自分にとっての三種の神器です」

DSC00128須田氏が手がける作品

PS3版
LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION 【CEROレーティング「Z」】

Xbox360版
LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION 【CEROレーティング「Z」】



須田少年に衝撃を与えた富野由悠季監督の『伝説巨神イデオン』

青春時代は、プロレス、ロック、アニメが自分にとっての三種の神器みたいなところがありまして、なかでも中学生のときに観た「伝説巨神イデオン」から受けたインパクトは大きかったです。
僕の世代は、ちょうど『宇宙戦艦ヤマト』から「機動戦士ガンダム」ヘムーブメントが続いた至福のときでした。
アニメが市民権を得ようとしていた時代ですね。
『イデオン』が、そういったサイクルのひとつの頂点だったような気がします。
そのつぎは”板野サーカス”と呼ばれる演出で有名な『超時空要塞マクロス』かな。
作画フェチだった僕は、作画監督や原画が誰なのかをいつも気にしていて、アニメ雑誌の情報やインタビュー記事などをよく読んだいたんですよ。
当時は、金田伊功さんを始めとするスーパースターアニメー夕ーに心酔していましたね。
「イデオン」は、前述の”板野サーカス”で有名な板野一郎さんが作画で参加されていて、その戦闘シーンが美しかった。
それと、物語は民族浄化戦争で、互いの存在を抹消すべく、人々が殺し合う描写がすごいんです。
中学生のときに、あれだけ強烈な死の場面を見せつけられて、記憶に残らないわけがない。
とくに、カララが実の姉のハルルに殺されるシーンは、いまでも強烈に印象に残っています。
この作品には、本当に”死”を身近に感じました。
そういった意味で、「イデオン」は僕にとって特別な作品であったと言えます。中学時代という多感な時期に、この作品に出会えたことは、とても幸運でした。
作画監督でありキャラククーデザインの湖川友謙さんも大好きですし、戦闘シーンは板野さんですし、もうお腹いっぱいと言いますか、この作品で何杯でも飯が食えます(笑)。
あの作品が、日本のアニメシーンにおける重要なターニングポイントになったと思いますし、これを観て育った僕の中
の、ひとつの根っこになっているのは確かです。

伝説巨神イデオン DVD-BOX
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”藤波辰巳 VS 前田日明”が須田氏の思想の原点

1986年に大阪城ホールで行われた藤波辰巳選手と前田日明選手の試合は、心にいちばん刺さっている試合です。
新日本プロレスとUWFの抗争ですが、単に技量の勝負ではなく、思想と思想がぶつかる、イデオロギーの戦いでした。
”戦い”というものを超越した空気がありましたね。
どちらも自分たちの団体の看板や、曲げられないスタイルを背負っていましたから。
結果的にはノーコンテストになりましたが、それもどこか運命的で、前田日明選手の串刺しニールキックはいまでも強烈に脳裏に焼きついています。
「ファイヤープロレスリング」シリーズが僕のゲームクリエイターとしてのデビュー作だったこともあり、戦いをテーマにゲームを作るときは、意志を持った者がぶつかりあう、イデオロギーの戦いを描くことを忘れないようにしています。
この試合が、僕の思想の原点のひとつと言えます。「ありがとうございます!」と伝えたいです。

前田日明デビュー35周年記念DVD−BOX
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海外文化を理解するための入り口となったバンド”JAPAN”

自分にとって、洋楽のルーツです。
初めて洋楽に触れたのが、このJapanというイギリスのニュー・ウェーヴバンドでした。
当時、僕は中学3年か高校生あたりで、Japanの音楽を聴いたのは、一風堂と競演したテレビ番組だったと思います。
そのとき、これまで聴いたことのない音が耳に飛び込んできて、どこか違う場所に飛ばされるような、いわゆる初期衝動を感じたのです。
とくに、メンバーの中心的人物であるデヴィッド・シルヴィアンの髪型や服装が、信じられないほどかっこよくて、日々真似していましたね。
僕が洋楽にどんどんのめり込んでいったのも、」apanがきっかけだったと思います。
音から世界を知り、世界とつながっていくきっかけになり、遠い海の向こう側にあるUK(イギリス)という場所に想いをはせる。そういう青春時代があったことで、海外の皆さんにも遊んでもらえるゲームを作るチャンスがめぐってきたように感じます。

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※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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October 29, 2012

■松山洋氏「私に影響を与えたのはマンガ。その中でも「少年ジャンプ」は別格です」

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松山氏が手がける作品
ドットハック セカイの向こうに + Versus Hybrid Pack ハイブリッドパック (通常版)




『少年ジャンプ』には夢がある

私はこれまで何度となく、「週刊少年ジャンプ」は最高のマンガ誌だと言い続けてきました。
しかし、じつは出会いを語ったことはなかったんですよね。
あれは小学1年生のころ、母親の付き添いで病院に行ったときでした。
自分よりも少し年上のお兄ちゃんたちが、夢中になって「少年ジャンプ」を読んでいたんです。
それで興味を持って読んでみたところ、衝撃を受けました。
それまで、私のなかでのマンガと言えば、『ドラえもん』のようなほのぼのとした作品でしたから、血を流しながら闘っている「リングにかけろ」にとても興奮したんです。
この甘い果実はなんなんだと。
難しい字は読めなくても、絵から伝わる迫力だけで十分に楽しめました。
私はアニメや映画など、いろいろなものを観てきましたが、もっとも影響を受けたのは確実にマンガ、そして『少年ジャンプ』です。
少年ジャンプには夢しか詰まっていない。
別格だと思います。

週刊少年ジャンプ



『ウルトラジャンプ』はとてもいいポジション

「ウルトラジャンプ」の創刊から10年以上が経ちます。
創刊時から追いかけてきた雑誌なので、思い入れがありますね。
当初は大暮維人先生の「天上天下」などを目当てに読んでいましたが、荒木飛呂彦先生の『ステイール・ポール・ラン』が「ウルトラジャンプ」に移ってからは、特別な雑誌のひとつになりました。
当然、いま連載している「ジョジョリオン」も欠かさずに読んでいます。
私は、「週刊少年ジャンプ」はつねに新しい作家を発掘する必要がありますから、たとえベテランの作家であっても、連載を終了しなければならないこともある。
「ウルトラジャンプ」は、そういったベテラン作家の第2のステージになっているんです。
もちろん、ここからデビューする新人もいますし、いまは読んでいて本当におもしろいですね。

ウルトラジャンプ




荒木飛呂彦先生と『ジョジョ』を信じて疑わない

私は「魔少年ピーティー」や「パオ一来訪者」などを読んで、荒木飛呂彦先生のファンになりました。
とくに、『パオ一束訪者』には大きな衝撃を受けましたね。悪の秘密結社によっで「バオー」という寄生虫を植えつけられた主人公が、少女を救うペく戦う物語なのですが、悪によって与えられた力で悪を制するというストーリーに惹かれました。
しかも、敵側の最強の戦士ウォーケンが、最後に「ようこそ来訪者!」と言うんです。
「来訪者とはそういうことか!」と震え、同時に荒木先生の作品がさらに好きになりました。
だから、『ゴージャス★アイリン』を経て『ジョジョの奇妙な冒険』の第1部が始まったときは、本当にうれしかった。
絶対におもしろいに決まっていると思っていましたが、その通りでしたね。
あれから、『ジョジョ』は連載25周年を迎えました。
荒木先生は、第5部が終わるまでほぼ休みなしで連載を続けられていましたから、私は言わば「ジョジョ」とともに成長してきたわけです。
だからこそ、「ジョジョ」の連載が途切れたときの喪失感は相当なものでした。
第5部の後、半年ほど休載されていたのですが、ずっと「早く始まってほしいな」と待ち焦がれていましたね(笑)。
画風やキャラクターの見せかたなど、『ジョジョ』の魅力はたくさんあります。
その中で私がもっとも好きなのは、バトルのエンターテインメント性なんです。
それまでのバトルマンガは、強い者が必ず勝っていました。
でも、『ジョジョ』はそうではないんです。
たとえば、第3部のボスであるDIOは、主人公の承太郎よりも圧倒的な力を持っている。
時を止める力なんて、言ってみれば最強の能力です。
承太郎も時を止める力を得ますが、DIOのそれとは比較にならないわけですよ。
でも、知恵を振り絞ってあきらめずに戦い、最後には勝つんです。
「そこにシビれる! あこがれるゥ!」なんですよ(笑)。
私は漫画家の先生達を育ての親のように思っていますが、荒木先生は間違いなくそのひとりですね。

ジョジョリオン 1 (ジャンプコミックス)
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※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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October 28, 2012

■志倉千代丸氏「ファンタジーにちょっとだけリアリティーを与えると途端に物語が身近になるんです」

DSC00130志倉氏が手がける作品

PS3版
ROBOTICS;NOTES (通常版)

Xbox360版
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『シュタインズ・ゲート』は『バック・トウ・ザ・フューチャー』から生まれた!?

僕は、『バック・トウ・ザ・フューチャー』のファンなのですが、とくに「part2」がいちばん好きですね。
この映画は、タイムマシンを題材にした物語で、1作目の場面に、再び主人公が時間を遡って向かうんですよ。
そこでの出来事が、1作目のシーンとつながっていて、伏線をちゃんと回収しているんです。
その点がとてもゲーム的だな、と。
1989年の公開当時、10代だった僕は「おもしろいと思うネタが全部入っているな!」とワクワクしながら観ていました。
エンタメのおもしろさのハードルが、一気に高まった作品ではないかと思います。
ファンタジーでありつつ、ギリギリ現実的に納得できるあたりの線引きもちょうどいい。
「シュタインズ・ゲート」も、このときの娯楽体験が原動力になっています。
ただ、僕だったら、たとえばゴミでタイムマシンが動くようになったところに、”なぜそうなったのか?”という注釈を入れているかもしれませんね。
ファンタジーにも、どこかにほんの少し、科学的裏づけを盛り込みたいんです。
それでやりたいことをやったのが、『シュタインズ・ゲート』でした。
作品では、どんな理論や原理でも作れてしまうので、実在する理論を持ち込むことで、リアルで身近な物語にしたかったんです。

バック・トゥ・ザ・フューチャー Part 2 [Blu-ray]
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作品を作るときのお手本になる映画『ジュラシック・パーク』

この映画は、恐竜が出てきた瞬間、数学者のマルコム博士の驚く顔が印象的でしたね(笑)。
当時、高性能なPCで恐竜のCGをリアルに描くことに、さまざまなところがチャレンジしていたのですが、本作は圧倒的でした。
いったい、この作品によってCDの進化が何年早まったんだろうと思ったくらいです。
CGの認識を一気に書き換えてしまった作品ですね。
プロモーションも凝っていて、トレーラーでは極力恐竜を出さないことで、あくまで映画館でのファーストインパクトを重
視していました。
あえて見せずに「いったいどんなものなんだろう?」と、一気にみんなの興味を惹きつけていましたよ。
また、蚊の化石から恐竜の血液のDNAを採取して復活させる、というアイデアが秀逸です。
これも、ファンタジーにちょっとしたリアリティーが加わっていることで、物語を身近に感じられました。
『ジュラシック・パーク』は、科学的な意味でのリアリティーとファンタジーのバランスが秀逸で、僕が作品を作るときのお手本になっている映画です。

ジュラシック・パーク アルティメット・トリロジー  [Blu-ray]
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MZ−2000の『ミステリーハウス』がゲーム制作の原点

小学6年生のときに、MZ−2000というマイコンでプレイしたのが『ミステリーハウス』でした。
遊ぶものをあまり買い与えてくれなかったきびしい両親が、なぜか唯一、MZ−2000だけは買ってくれたんですよ。
これを手に入れて、「ミステリーハウス」をプレイしなかったらいまの僕があったかどうか。
そういう意味では感謝しています。
それまでは、街の電気屋に置いてあるマイコンでゲームのプログラムを打ち込み、遊んでいましたから(笑)。
「ミステリーハウス」は、ビジュアルのあるアドベンチャーゲームとしては世界初の作品です。
いまの仕事に就いているのは、間違いなく本作の影響で、原点中の原点ですね。
コンピューターが、自分の入力したことに応えることに、すごく感動を覚えました。
ですから、アドベンチャーゲームには、並々ならぬ思い入れがあるんです。
ただ、大げさな言いかたかもしれませんが、アドベンチャーゲームの基本って、『ミステリーハウスjから劇的に進化したかというと、そうでもない気がするんですよ。
そんな、もっとも進化していないジャンルだからこそ、アドベンチャーゲームは、まだまだ多くの可能性を秘めていると思うし、チャレンジしがいがあるジャンルだと感じています。

ミステリーハウス



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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October 20, 2012

■松野泰己氏「墓場に1本だけ持っていけるとしたら僕は問違いなく「ゼルダ」を選びます」

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松野氏が手がける作品
GUILD01 (ギルドゼロワン)


『アルゴ探検隊の大冒険』はファンタジーの原体験

僕は新潟県の雪深いところの出身なのですが、冬場は雪が積もって壁のようになってしまうので、なかなか外で遊ぶことが難しいんです。
幼いころは家庭用ゲーム機自体がなかったので、テレビぱかり見ていた記憶がありますね。
そんなときに出会ったのが、この「アルゴ探検隊の大冒険」です。
ギリシャ神話のひとつをモチーフにした作品で、特撮監督として有名なレイ・ハリーハウゼンが手掛けています。
彼は、俳優の実写映像とミニチュアのコマ撮りを組み合わせた”ダイナメーション”という手法で知られていて、僕もそれを真似て、ミニチュア作りをしました。
針金と粘土で人形を作って、物語を考えながら遊んでいた記憶があります。
ハリー八ウゼンの影響はとても強く、たとえばスケルトンというモンスターは非常に有名ですが、僕のなかでは「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」ではなく、ハリーハウゼンのスケルトンが真っ先に思い浮かぶんです。
これはメデューサなどもそうで、彼が作った映像が、僕のイメージのベースになっていることは間違いありません。
ちなみに、映画はいまでも好きで、年間に60本ぐらいは観に行っています。
そうして刺激を受けることで、物作りに活かしているんです。

アルゴ探検隊の大冒険 [DVD]
アルゴ探検隊の大冒険 [DVD]



友情、努力、勝利の『三銃士』に胸をときめかせた

小学校低学年のころ、父親が子ども向けの文学全集を買ってくれました。
その中で印象に残ったもののひとつが、この『三銃士』です。
デュマの原書は、フランス王宮を巡る陰謀に主人公のダルタニヤンと三銃士が立ち向かう話で、きな臭い部分もありますが、基本的には友情、努力、勝利という、「週刊少年ジャンプ」的な物語(笑)。
それが、児童文学ということで子ども向けにアレンジされていて、読みやすかったんですよ。
全集には、ほかにも「宝島」や「トム・ソーヤーの冒険」などがありましたが、いつも情景を思い浮かべながら読んでいたことを覚えています。
『三銃士』は原書も読みましたし、映画化された作品も観ました。
1970年代の『三銃士』と『四銃士』は、テレビで観てフェンシングのシーンに興奮しましたし、昨年の「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴインチの飛行船」も、愛すぺきバカ映画として楽しませてもらいました(笑)。
三銃士は、中世や近代をモチーフにしたものが多い僕のゲームに、影響を及ぼした作品の一つです。

三銃士 上 (角川文庫)
三銃士 上 (角川文庫)



ゲームデザインを教えてくれた『ゼルダの伝説』

『ゼルダの伝説』は、先輩の家で遊びました。
そのとき僕は大学生で、サークルの先輩や友人たちとよく麻雀を打っていたのですが、メンツが5人以上揃うと、誰かが待ちますよね。
待つ人間は、たいていファミコンで遊んでいて、そのソフトのひとつに「ゼルタの伝説」があったんです。
遊んでみたらものすごくおもしろくて、麻雀そっちのけで『ゼルダ』ばかりやっていました(笑)。
それまではファミコンもディスクシステムも持っていなかったのですが、ハマりすぎて、バイト代をつぎ込んですぐに買いましたね。
でも、当時はインターネットがなく、まわりにゲームをやる友人もいなくて(苦笑)。
ひとりでマッピングをしながらの攻略に限界を感じ、雑誌から情報を得ていました。
ゼルダの良さは、壮大な冒険をする気分が味わえるという点にあると思います。
単なるステージクリアー型のアクションゲームではなく、謎や仕掛けについて悩み抜いて、それが解けたときにスッキリするというゲームデザインもすばらしいですよね。
僕はいま、ゲーム作りを仕事にしていますが、悩ん
だときは必ず「ゼルダ」に立ち返るようにしています。
墓場に1本だけゲームを持って行けるなら、絶対にゼルダを選びます。

ゼルダの伝説 【ファミコンディスクシステム】
ゼルダの伝説 【ファミコンディスクシステム】

ファミコンミニ ゼルダの伝説1
ファミコンミニ ゼルダの伝説1




※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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October 19, 2012

■藤岡要氏「アクションの気持ちよさがあるジャッキーの映画に夢中でした」


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藤岡氏が手がける作品

モンスターハンター3G


『スパルタンX』でくり広げられたジャッキーアクションの虜に!

僕は、ディズニーや宮崎駿さんのアニメも大好きなんですが、最初に夢中になったのは、子どものころにテレビで観たカンプー映画、なかでもジャッキー・チェンの映画でした。
『スパルタンX』では、終盤にジャッキーと仲間が、女性を助けるため城に乗り込むのですが、そこでベニー・ユキーデ演じるギャングと1対1で戦うシーンがすごくかっこいいんです。
それ以前のカンフーアクションとは違ってテンポが早く、周囲にあるものを使ったりもして、メリハリや見せかたがすごく気持ちいい。
10分ぐらいのそのシーンを、くり返しくり返し、何度も見ていました。
カンフー映画には、スピード感やCGに頼った派手な作品も多いのですが、”スゴイことをやっていそう”ではあるけれど、アクションの抑揚が把握できない作品は、ぜんぜん楽しくない(苦笑)。
僕は、ゲームを作るときに、ボタンを”押した”という感覚に応じてキャラクターがリアクションをする、ということを大事にしています。
プレイヤーが自分で何をやっているかを把握できて、そのうえでアクションが気持ちいいものを目指しているんです。それは、『スパルタンX』などで見た、ジャッキーアクションの気持ちよさに影響を受けているのかもしれません。

スハ?ルタンX [Blu-ray]
スハ?ルタンX [Blu-ray]



年齢や経掛こよって理解が深まっていく『ゲド戦記』

僕はどちらかというと、「ジョジョの奇妙な冒険」などマンガが好きで、活字にはあまりなじみがありません。
でも、30歳を過ぎたころに「活字ってええな」と思う時期があって。
河合隼雄さんの本で紹介されていたのをきっかけに読み始めたのが、『ゲド戦記』でした。
これはゲドという魔法使いの物語で、外伝も含むと6巻まであり、1巻では彼の幼少期からの話を、2巻では青年期、
3巻で中年期‥…・と、時が流れていきます。
この作品は、魔法使いのディティールなど世界観の緻密さがすごいんですよ。
3巻ではゲドが大魔法使いになっていて、世界の均衡を保つために、おいそれとは魔法を使いません。
ゲドについていく若者は、そんなゲドのことを理解しようとするもののできずに苦しむのですが、
苦難を乗り越えるうちに、少しずつ理解が深まっていく。
「MH」で自分がディレクターとしてチームをまとめる立場を経験した後に読んだからか、そんな彼らの関係性に妙に共感しました。きっと、子どものころに読んでいたら、1巻や2巻のほうが派手で楽しいやろな(笑)。
じつは、4巻はさらに渋くなっているので、いまはまだ共感できないかなと思つて、大切にとっておいてあるんです。
50歳ぐらいになったら読もうかと(笑)。

ゲド戦記 全6冊セット (ソフトカバー版)
ゲド戦記 全6冊セット (ソフトカバー版)
影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)
影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)



遡るとカプコン入社のキッカケだった『ロックマン2』

中学生か、高校に上がったころは、絵を描く職業に就けたらいいなと漠然と思つていました。
そんなときに、お店でジャケ買いしたのが『ロックマン2』。
横スクロールのアクションで、すごく難度が高いというのは有名ですよね(笑)。
どういう順番でステージを攻略していくか、工夫するのが楽しくて。
ゲームができるのは1日1時間だったので、攻略ルートを決めて、時間内でパーツとクリアーするというのが日課になっていました。
それと、当時のゲームはハイスコアを競うものが主流だったなか、スコア自体がない、というのが衝撃でした。
しばらく操作しないと、ロックマンがまばたきをするのも、そんなギミックを見たことがなかったので「ロックマンかわいいやん」と驚いたり(笑)。
このゲームでカプコンという会社を意識して、のちにゲームセンターで『ストリートファイター』や『ファイナルファイト』などのゲームにハマっていったように思います。
その意味では、『ロックマン2』が、入社のきっかけだったのかもしれないですね。

ロックマン2
ロックマン2
ロックマン2 Dr.ワイリーの謎
ロックマン2 Dr.ワイリーの謎




※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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October 18, 2012

■鳥山求氏「『FF』シリーズに携わるキッカケは、大学時代に観た”寅さん”でした。

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鳥山氏が手がける作品

ファイナルファンタジーXIII-2


心に響く作品ナンバ−ワンは、山田洋次監督の『男はつらいよ』

『男はつらいよ』を意識して観始めたのは、大学生のときでした。
それまでも、テレビで観たりはしていたのですが、シリーズ作がたくさん出ているのには、それなりの魅力と理由があるのだろうと、レンタルビデオで1作目から借りていったんです。
「男はつらいよ」シリーズは、主人公の”寅さん”こと寅次郎がいて、彼が恋に落ちるマドンナがいて、最後は失恋して……というパターンがあるんですよ。
でも、それは”王道”や”様式美”と言える完成されたもので、マドンナのタイプやドラマの切り口は毎回違う。
変えない部分と変える部分のバランスがいいんです。
僕は、つねに新しいものを取り入れていくようにしているのですが、根源にはオーソドックスな、”心を打つ”ものが好
きという部分があります。
その点で、「男はつらいよ」は人情あり、笑いあり、涙ありで、心に訴えかけてくる作品なので大好きなんです。
ちなみに大学生のときは、その思いが高じで”「男はつらいよ」研究会”というサークルを立ち上げたり、クイズ番組で「男はつらいよ」を扱った回に出演したほどでした(笑)。
また、この作品に出会ったことが、のちに「FF」シリーズに携わるようになったきっかでもあります。
「物語を多くの人に届けたい」という気持ちを、掻き立てられた作品だったからです。
いま、その『FF』を作る立場になって、寅さんというキャラクターを長く描いていることや、ファンの期待に応えて続けていることが、本当にすごいと改めて思います。
また、寅さんは、作品が出るにつれて年齢も上がっていき、それがリアルに反映されていくところも魅力です。
僕がつぎに、強い個性を持つ主役キャラクターで物語を作るときは、寅さんのように、年齢の違いによる味わい深さを感じられる作品を作るのもいいかもしれない、と思っています。

「男はつらいよ HDリマスター版」プレミアム全巻ボックス コンパクト仕様<全53枚組> [DVD]
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『それでも、生きてゆく』にプロの仕事を垣間見た

僕は、シナリオ作りの勉強のためにも、国内外問わず、映画やテレビドラマをよく観ています。
『FFX掘戮慮紊法X掘2』という続編を制作していますが、これはテレビドラマ的な構成を意識している部分もあるんですよ。
この『それでも、生きてゆく』は、脚本のよさが光っている作品です。
過去に犯罪に巻き込まれた家族と、その加害者の家族が織り成す数日間のお話で、事件から現在までの”重み”が痛いほどに感じられる。
暗いお話ですが、そこには癒しもあるんです。
役者さんたちが、本気で脚本と向き合っている空気までもが感じられて、プロの作品作りという面で、非常にいい刺激を受けました。
ロケ地が僕の田舎のほうで、記憶の情景と重なるという部分も、個人的には印象深い部分でしたね(笑)。

「それでも、生きてゆく」ディレクターズカット完全版 (初回封入特典終了) [DVD]
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日本のゲーム事情を感じる  『聖戦ケルペロス』に感心

『FF将掘2』のリリース時期に、『聖戦ケルベロス』がEXILEを起用した大々的なプロモーションを行っていて、悔しい思いをしたのが、この作品を意識したきっかけでした(笑)。
『聖戦ケルペロス』は、カードバトル型のシミュレーションRPGで、ほかのソーシャルゲームよりもコア寄りなゲーム性を持っています。
コミュニケーション要素が重すぎず軽すぎず、ほどよく関わり合うことができ、広い層のユーザーが参加しているのが魅力ですね。
ユーザーの声をダイレクトに反映し、新たな要素をつぎつぎと実装していたりもして、現在の日本のゲーム事情を感じられます。
最近は通信環境も整ってきて、ユーザーが互いに”そこにいる”感覚を得られることが大事になっていると、強く印象づけられました。



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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September 21, 2012

■伊津野英昭氏 「子どものころのワクワク感をドラゴンズドグマで再現したかったんです

DSC00119伊津野氏が手がける作品

ドラゴンズドグマ(PS3版)

ドラゴンズドグマ(Xbox360版)



『アンタッチャブル』で知った脇役の重要性

子どものころは、『機動戦士ガンダム』や『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』といったアニメぱかり観ていました。
学園祭や遠足など、イベント前日の興奮が大好きだったので、学園祭の前日が繰り返される「ビューティフルドリーマー」は僕の理想でしたね(笑)
『アンタッチャブル』が印象に残っているのは、初めて自分の意思で観に行った実写映画だからなんです。
禁酒法時代のアメリカを舞台に、密造酒の製造を牛耳るアル・カポネを逮捕しようとする捜査官たちの活躍を描いた物語で、ショーン・コネリーを始めとする脇役がとにかくカツコいいんですよ。
とくに、コネリー演じる老警官のマローンが死んでしまうシーンは、いまも目に焼きついています。
それまでは主役にばかり注目していたのですが、「アンタッチャブルに触れてからは、必ずしも主役が一番立つ必要はないことに気づいて、物語の味方が変わりました。
そういう意味で、大人の見かたができるようになったきっかけを作ってくれた作品です。

アンタッチャブル スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
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『火吹山の魔法使い』に感じたドキドキをもう一度

当時、『フアンロード』という雑誌を購読していまして、そこで紹介記事を見たのが、「火吹山の魔法使い」との出会いでした。
『Beep』では”RPG幻想辞典”が連載していたり、映画の『ネバーエンディング・ストーリー』が封切られたりと、ファンタジーが日本に入り始めたころですね。
そんなときに、自分が勇者となって文章を読み進め、行動を選択して冒険する、”ゲームブック”なるものが発売されるということで、ワクワクしながら本屋で注文したのを覚えています。
『火吹山の魔法使い』は、少ない挿絵と文章を合わせて読むことでイメージが増幅されて、その場の状況をありありと想像できるリアルさがあるんです。
いつも勇者になりきって、迷宮を探索していました。
僕は、現実世界では無難な選択をしがちなので、逆にこういった物語では、果敢に突撃することが多かったですね。
そのせいで悲惨な目に遭ったり、サイコロの出目が悪くて死にかけることもありましたが(笑)、インチキしたくなる心をグッと抑えて進んでいました。
この本には、行動の選択やモンスターとの戦いといった、数多くのドキドキが詰まっています。
このドキドキをもう一度体験したいという想いが、「ドラゴンズドグマ」の開発の原動力になりました。

ファイティング・ファンタジー「火吹山の魔法使い」 (〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズ)
ファイティング・ファンタジー「火吹山の魔法使い」 (〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズ)



野球(阪神)好きの血が騒ぐ『プロ野球ファミリースタジアム』

もともと野球が好きで、中学校から高校のころは、昼休みにずっと野球をしていました。
野球部ではなかったのですが、当時の後輩に、「いつも野球をしている人」として覚えられていたくらいです(笑)。
だから、ファミコンの『ペースボール』はずっと遊んでいましたし、『プロ野球ファミリースタジアム』(以下、「ファミスタ」)にも、ハマるぺくしてハマりました。
この初代『ファミスタ』が出たのが1986年で、その前年に僕の好きな阪神が優勝しているんです。
じつは初代「ファミスタ」の阪神(タイタンズ)のメンバーは、歴代のシリーズでいちばん強いんですよ(笑)。
そういうところも好きで、友だちとずっと遊んでいましたね。
「ファミスタ」って凡打を打ったときとホームランのときとでは、ボタンを押した感覚が違うんです。
もちろん、実際にはそんなことはありませんが(笑)、でも、凡打は詰まったような感じがするし、ホームランなら芯に当
たったような手応えがある。
僕がいまゲームでメシを食えているのは、こういった感覚や、子供の頃に強く揺さぶられたものを覚えていて、それをゲーム作りに活かせているからなんです。
もし、この記憶力を勉強に使えれば、もっといい学校に行けたのかもしれません(笑)。

ファミリースタジアム
ファミリースタジアム



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より


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August 21, 2012

■犬塚太一氏 「冒険の原点は ”ウイザードリィ”から学びました」

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犬塚氏が手がける作品

ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D


知的なおもしろさを知った『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

これは高校生くらいのときに、友だちに誘われて映画館で観ました。
当時は、単に「おもしろい映画だったな」と思っていましたが、振り返ると、”知的なおもしろさ”を初めて感じた体験だったんじやないかな。
主人公は過去に戻って、両親の青春時代に関わっていくのですが、”過去でここを変えたから、現代ではこうなった”という、理屈で出来たおもしろさを受け取ったように思います。
すごくよくできた推理小説を読み終えたときに、結末を知って「ああ、なるほど」と唸ってしまうような感覚でした。
新聞に書いてあるひと言にも意味があったりだとか、たくさんの複線が張られているところも興味深い。
だから、何度観てもおもしろいんですよね。
現在では、ストーリーを作るうえで、”たくさんの布石がキレイにつながってハッピーエンドになる”という意図をスタッフに説明するときに、例の一つとしてよく挙げます。
知らない人は少ないので、伝わりやすいんです。
読者の方で、まだ観ていない人は、いまからこの作品を楽しめるのですから、そんな幸せな話はないですよ(笑)。
シリーズ作ももちろん好きですが、いちばん印象的なのは、やはりこの第1作です。
バック・トゥ・ザ・フューチャー 25thアニバーサリー Blu-ray BOX [Blu-ray]
バック・トゥ・ザ・フューチャー 25thアニバーサリー Blu-ray BOX [Blu-ray]



『『坊っちゃん』の時代』のエンターテインメント性にワクワク

20年ほど前だと思いますが、当時何度も読み返したマンガです。
明治時代、「坊っちゃん」の構想を練っていたころの夏目漱石のエピソードが描かれているのですが、これも”バック・トウ・
ザ・フューチャー」と似た知的なおもしろさがあります。
街を歩いていると、森鴎外と会ったり、東京駅で東条英機とぶつかったりと、ふとしたときに有名人が登場する場面がたくさん散りばめられていて、その構成力に、「おおっ」と鳥肌が立つような感覚を覚えました。
明治時代の雰囲気が見事に描かれていて、その当時の人が、どんなことを考えて暮らしていたのかという点にもワクワクしながら読みましたね。
また、夏目漱石というと、病弱で人付き合いが苦手というイメージがありますが、この作品ではすごく人間味溢れる人物に措かれているところが印象深い。
どこまでが史実か、ということは気にせず、エンターテインメントとして受け取っています。
とにかく、文学というジャンルで、こんなに楽しいマンガが作れるということが新鮮でした。
私は、世代を越える作品にアツくなるんですよ。
何しろ、入社して初めて携わった仕事が、「ドラゴンクエスト后‥袈の花嫁」という、親子3代の壮大な物語を描いた作品でしたから(笑)。
『坊っちゃん』の時代 (双葉文庫)
『坊っちゃん』の時代 (双葉文庫)



冒険のきぴしさと楽しみかたを受け取った『ウィザードリィ』

『ウィザードリィ』は、少年時代にファミコン版を遊びました。
ワイヤーフレームで描かれた3Dダンジョンを、自分の視点で進んでいくゲームです。
すごいのは、ダンジョンの壁がただひたすらあって、戦闘に入るとモンスターが登場する。以上!
という簡素な構造。これが、”ゲームの行間を想像しながら遊ぶ感覚”を受け取った最初の作品、という気がします。
また、特徴として、すごくバランスがきついんですよ(苦笑)。
私は、こういった作品からゲームというものに触れたので、「冒険なんだからきびしいのは当たり前だ」という考えが根底にありますね。
レベルを上げてキャラクターを強化したり、レアアイテムを集めたりという喜びや感覚も、この作品で教わりました。
攻略するために、方眼紙にマップも描きましたよ。
ただ、いまのゲームでそれをやると、ユーザーさんは遊んでくれません。
ですから、”冒険という山に登るときに、どれだけ登山グッズを用意してあげるか”を意識します。
現在では、最新のグッズで少し安全に遊びつつ、冒険の普遍的なきびしさや楽しさを味わってもらうような調整をしています。
私は、登山をやったことはないんですけどね(笑)。
ウィザードリィ
ウィザードリィ



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より


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July 15, 2012

■鯉沼久史氏「マリオプラザーズ」はすべてが新鮮に感じました。

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鯉沼氏が手がける作品

戦国無双 Chronicle 2nd


ファンタジーに触れた『ネバーエンディング・ストーリー』

「ネバーエンディング・ストーリー」は、初めて自分でお金を払って観た映画なんです。
中学校1年生のころ、春休みに友だちと映画を観に行くことになり、話題になっていたこともあって、これを選びました。
主人公のバスチアンが古本屋で出会った本を読んでいるうちに、本の中の世界である”ファンタージェン”に入り込んでしまうという物語で、あれだけの合成映像は、当時としてはとても珍しかった。
とくに、ファルコンと呼ばれる白い竜が空を飛ぶシーンは非常に壮大で、心に残りましたね。
ファンタジー作品は、空想して楽しめるのが好きで、いまでも『ナルニア国物語』や「マジック・ツリーハウス」など、その手の映画をよく観ています。
『ネバーエンディング・ストーリー』のような、楽しくてやさしいファンタジー作品を作ってみたいと思っているので、ぜひトライしてみたいですね。
ネバーエンディング・ストーリー [DVD]
ネバーエンディング・ストーリー [DVD]



小学生でも楽しめた『スイマー』のシンプルさ

小学生のころ、親が忙しかったこともあって、兄に面倒を見てもらっていました。
兄の友人の家がゲームセンターを経営していたので、よく遊びに行きましたね。
この「スイマー」は初めてやり込んだゲームとして印象に残ってます。
川を泳ぐスイマーを操作して、障害物を避けながら進むアクションゲームなのですが、使うのはレバーとボタンそれぞれひとつずつということで、小学生の自分でも遊べるくらいシンプルだったんですよ。
ほかにも遊んでいたゲームはいくつかありましたが、「スイマー」はステージの種類も豊富だし、グラフィックもカラーでキレイだったので、とくにハマりました。
その後、いろいろなゲームを遊んで、いまはコーエーテクモゲームスでゲームを作っていますが、『スイマー』がテーカン(のちのテクモ)のゲームだというのも、何かの綾なのかもしれません(笑)。
スイマー(ACアーケード版)


友だちといっしょに遊び続けた『スーパーマリオブラザーズ』

前述の通り、小学生のころはゲームセンターに通っていましたから、兄といっしょに『マリオブラザーズ』でも遊びました。
ご多分に漏れず、倒し合いもしましたね(笑)。
そうやって熱中した「マリオブラザーズ」がファミコンで発売されることになり、自宅で遊べるようにとファミコン本体を買おうとしたのですが、品切れ状態でまったく買えず、手に入るまで3〜4カ月かかった記憶があります。
それからしばらくして、1985年に『スーパーマリオブラザーズ』が発売され、『マリオブラザーズ』と同じようにこれにもハマりましたね。
『ファミマガ』や「マル勝ファミコン」といった雑誌でワープできることを知って、ワープを使って遊んでばかりで(笑)。
そう言えば、友だちといっしょにワープなしでクリアーしようとしたこともありました。
すべてのステージを見てみたくなって、挑戦したんです。
土曜日の午後0時ごろ、学校の授業が終わってから始めたのですが、ずっとプレイし続けて、クリアーするころには午後6時過ぎになっていました。
もう、外が真っ暗でしたね(笑)。
「スーパーマリオブラザーズ」がすごいと感じたのは、ひとつひとつのステージにコンセプトがあり、異なった仕掛けが用意されているところです。
地上から始まって、地下や水中、お城があったりと、バリエーションも豊富ですよね。
当時のアクションゲームは、同じステージをくり返しやらせるようなものが多かったこともあって、とても新鮮で、毎日ずっと遊んでいました。
いまになって「スーパーマリオブラザーズ」のことを考えると、限られたカセット容量でいかにおもしろく遊ばせるか、ということをもっとも実践していたソフトじゃないかと思います。
昔のゲームは、いまのゲームと比べてやれることが大幅に限られていたので、その分シンプルなおもしろさを追求しているものが多かったように感じますが、そのなかでもFスーパーマリオブラザーズ』は、群を抜いてすばらしかったですね。
スーパーマリオコレクション スペシャルパック
スーパーマリオコレクション スペシャルパック



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より


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July 14, 2012

■馬場英雄氏 「『サイダーハウスルール』のような温かさを作品で表現していきたいです」

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馬場氏が手がける作品

テイルズ オブ エクシリア2 (初回封入特典:プロダクトコード同梱) 特典 予約特典「オリジナル短編小説「TALES OF XILLIA 2 -Before Episode-」&「設定資料集」付き


正義を問いかける『サイダーハウス・ルール』

これは、思春期の主人公が、大人になる過程でさまざまな葛藤やカペにぶつかり、成長していく過程を描いた作品です。孤児院で育った主人公は、あるきっかけでリンゴ園で働くことになります。
同僚の労働者との交流や恋愛などを通じ、”たとえ、世の中として犯してはいけないルールであっても、ときにはそれを選ぶことが最善の場合もある”ことを学ぶんですね。
僕たちも”正義”が題材と言える作品を作っていますが、何が正しくて、何が正しくないかの判断は、非常に難しいものです。
悩みや大きな想いが、いつの間にか大切な人を傷つけてしまうこともあります。
社会で当たり前とされるルールに従いながら、自分の価値観や強い信念を見つけなければならない。
本作では、このデリケートな問題を、わかりやすく、しかも心にズシンと伝わる描きかたをしているんですよ。
この映画を観て、僕もRPGの物語を作る際、作品のテーマに乗せて、こういったメッセージを発信したいとさらに思うようになりました。
また、決して明るい物語ではありませんが、なぜか温かさを感じられます。
これは、主人公の印象的な微笑みの力もあるのでしょうね。
そういった温かさを、ゲーム制作を通じて伝えていけたらと思っています。
サイダーハウス・ルール [Blu-ray]
サイダーハウス・ルール [Blu-ray]



『シービスケット』はとにかく力をくれる

”シービスケット”という見捨てられた馬が、心に傷を抱いた3人の男とともに這い上がっていくという、大恐慌時代のアメリカの実話をもとにした映画で、ケガや騎手のハンデなどの困難を乗り越えていく姿に非常に感銘を受けましたね。
まるで、騎手やシービスケットに気持ちが乗り移ったかのように、のめり込んで観ていました。
レースで勝利する姿には、小さくガッツポーズをしたほどです(笑)。
逆境にくじけそうになっても、踏ん張って、少しずつでも前に進む。
その結果が、ひとつの道につながるのだということを改めて思いましたし、あきらめない気持ちの大切さを感じさせてくれました。
仕事のうえで困難なことがあったり、不本意なことを言われたりという経験が、僕自身にもあります。
でも、この映画が、どんなにつらくても、その場で踏んばらなくてはならないと思わせてくれるんです。
皆さんも、自分の中でどんどん弱い気持ちが広がることがあるかもしれません。
そんなときにこの映画を観ていただくと、弱った心が一転して、「もっとがんばらなきゃ」と思えるような勇気をもらえるんじゃないかな。
力をもらいたいときに、ぜひ観ていただきたいですね。
シービスケット プレミアム・エディション [DVD]
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心の強さを学んだ『かもめのジョナサン』

1羽のカモメ”ジョナサン”が、”かもめのありかたとは何なのか”を考える話です。
自分の翼は、エサを取るためだけではなく、もっと速く飛ぶためにあるのだと思い、
食事も摂らずに飛ぶ訓練をするわけです。
そうなると、まわりの仲間からは何をやっているのか、おかしな奴だと思われてしまいますが、ジョナサンは周囲の目を気にせずに努力を続けます。そして、飛行法を極めたジョナサンは、いわゆる死後と言えるような”つぎの世界”へと旅立つんですね。
探求した答えを見つけて、この世界で自分はもうやることがないと悟ったときに、別の世界へ行く。
ということは、僕たちがこの世に生きているということは、まだ成すべきことが残されているからでは、という考え方を、この本から受け取りました。
目標や信念を見つけて、それを貫くために生きなければならない、と。
また、「見たものすべてが正しいわけではない、心の目で見ることが大切だ」とジョナサンは言います。
真実を見るには、表面的に判断するのではなく、改めて内面を見つめ直すことが大切なんです。
ジョナサンに学んだ考えや、信念を持つことの大切さは、初めてこの本を読んだ中学生のころから忘れられません。
かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)
かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)



※週刊ファミ通 2012年6月14日号より

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